失礼ながらご年齢がご年齢だけに、またぞろ最近の若い者はという話かなと思ったのですが、納得出来る話でした。
特にこの下りが。
みなさん、今は格差社会だと言うでしょう。けれど、現代の格差なんて甘いもんだと思うんです。戦後のほうが強烈な格差がありました。
それは何かというと、焼けなかった人と焼けた人の格差です。これはもう強烈な格差でしょう。その後増えた引き揚げ者は、もっと激烈な人生のどん底をくぐってきた。戦災孤児や傷病軍人もたくさんいましたからね。親が死んだ子供と生き残った子供。ケガを負った人とそうでない人。これはもう明白な格差ですよ。
私の両親も「焼けた人」であり「引き揚げ者」であり「親が死んだ子供」でもありました。とにかく貧乏だったので、高校にも進学せずに働いて実家を支えてました。
ただ、これは何も私の家だけではなく、多くの家にとっては当たり前のことでした。
なので、今以上に家庭の事情、特に経済的な事情で高等教育を受けることが出来なかった人はもっと多くいたわけです。
そう考えると、「昔は良かった」というのは単なるノスタルジーかなと思ってしまいます。
もちろん、我が国は全体的には豊かになりましたが、完全に貧困が根絶されたわけではありません。それは、生活保護の受給家庭が今なお存在することからも分かるとは思います。
ですが、たとえ不景気になったとしても、飢えて生命の危険に晒されることはほとんど無くなったとは思います。
おそらく人間は、過去を美化する傾向がある一方で、今の時点の状況を当たり前だと考える傾向もあるのだと思います。
ここで考えるべきは、今の当たり前の状況がもし当たり前で無くなったらというところだと思いますね。
我が国は終戦後のがれきの状態から今の状態へと復興を遂げました。だから、逆の状態に陥ることもあり得るわけです。
この辺りは肝に銘じる必要はあると思いますね。