やね日記

或る大阪在住Mac使いの道楽な日々

老いる家 崩れる街 住宅過剰社会の末路

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最近勧められて読んでみました。
読み進める内に、私も小なりとは言え不動産を所有しているので、確かに将来に対してこのままで良いのかという不安を覚えました。
ただ、この本の重要なところは、個々の不動産と言ったミニマムな話だけではなく、少子高齢化を迎えている我が国の都市政策、ひいては我が国の有り様に対しても警鐘を鳴らしている点にあると思いました。

少子高齢化に逆行するマンションや一戸建ての乱立

既に我が国は少子高齢化を迎えていると言われて久しく、人口は減少し始めています。
しかし、その中にあっても、都心であれ地方であれ、新たなマンションや一戸建てが次々と建設され続けています。
一方、高度経済成長期に大量に建設されたマンションが老朽化しつつあり、建て替えなどが必要とされつつあります。
このような状況下で、果たして需給のバランスが取れているのかは甚だ疑問です。
不動産業界や建設業界は、建設を進めることで売上を計上する必要がありますから、自ずとこのような事業活動を取る必要はあると思いますが、需要が無くなればバブル崩壊後以上のインパクトがこれらの業界を襲うのではないかと個人的には懸念してしまいます。

コンパクトシティに逆行する無秩序な住宅開発

少子高齢化を迎えるにあたり、国が平成26年に制定した「まち・ひと・しごと創生法」などの法令に基づき、各市区町村は「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、まちづくりを進めています。
その中には、「コンパクトシティ」というキーワードが少なからず掲載されていますが、実際には都市計画法の間隙をついた無秩序な住宅開発が進み、「コンパクトシティ」と逆行する動きを示す市区町村が少なからず存在します。
無秩序な住宅開発は、結果として、上下水道や小学校の教育施設などの公共施設への不必要な投資を市区町村に強いることに繋がります。それが可能であれば良いのですが、少子高齢化で税収が減少する懸念が増大している中で、果たして必要とされるインフラが整備できるかは大いに疑問です。

硬直化した法令や行政区画の再構築が必要

結局は、目先の利益にとらわれて、抜本的な改革を先送りにしていきたツケが様々な問題として噴出しつつあり、その一つの象徴がこの住宅問題であると思います。
この住宅問題の根本要因として、この本は都市計画やリノベーションをなおざりにしてきた我が国の都市政策に求めていますが、個人的にはそれだけではなく、明治以来合併もなく同様の行政区画のままである都道府県がそのままの状態で放置されていることも一因ではないかと思います。
地方の都市計画を策定するには、広域的なグランドデザインを描くためにも、都道府県の枠を超えた広域自治体は必要ですし、少子高齢化を迎えている現在では喫緊の課題たりうると思います。
こう言った法令や行政区画の再構築は、以前から言われてきたことですが、いよいよ不可避の問題となりつつあるのではないでしょうか。

人口減は全国一律に進行しない故に

何度も少子高齢化については触れましたが、それに伴う人口減は全国一律に進行するわけではありません。
まずは労働市場の規模が小さい地方から順に進行していくでしょう。
また、その地域の中でも一律ではなく、鉄道などの公共交通機関から遠い地域ほど早く進行していくと思われます。
仮に道路が整備されている地域でも、高齢者ほど車を利用するのに困難を伴いますから、公共交通機関から遠ければ、意外に早く人口減は進むと思います。
これら人口減は、おそらくは想像を超えるインパクトを我が国の社会に与えると思いますので、総論賛成・各論反対とは言ってはおられないと思いますね。
この総論賛成・各論反対をいかにまとめるかが困難なことなんですけどね。
ただ、いつまでも逃げてはいられない問題となっているのではないでしょうか?