セブン銀行登場前の銀行ATMは一台800万円していた(無人店舗のは2000万)。そのため一台当たり1日の決済件数が100件割ると採算取れない。セブン銀行はNECとゼロから通帳と小銭機能を省いた200万円のATMを開発し、1日あたり70決済で利益が出るようにした。そして新生銀など他銀行のATMも代替するように。
— 久下玄 (@kugehajime) 2018年10月7日
この「何かを減らして、何かを増やす」に既視感を感じたので、以前に読んだ経営戦略の本をひっくり返してみました。
そして、ブルー・オーシャン戦略を思い出しました。
ブルー・オーシャン戦略とは、インシアード(欧州経営大学院)のW・チャン・キム教授とレネ・モボルニュ教授が提唱したもので、競争の激しい既存市場(レッド・オーシャン)と決別して、競争の無い未開拓市場を切り開くべきだという理論です。
そのためには、無駄な機能やサービスなどを「減らし」、新たな機能や付加価値を「増やす」ことで、企業と顧客の双方のメリットを増やす必要があるというのが骨子だったように記憶しています。
これは、セブン銀行のビジネスモデルにまんま当てはまると個人的には思います。
セブン銀行は、一般の金融機関が行う貸出業務を住宅ローンも含めて行っていません。
その代わりに、イトーヨーカドーやセブンイレブンの店舗内だけではなく、地下街の一角や金融機関の店内などあらゆる場所にATMを設置し、そのATMの利用手数料を収入の源泉にしています。
そこでATMの機能を絞ることでコストを下げ、利益を生み出す構造にしているわけです。
ブルー・オーシャン戦略については、上記の本を読んでもらうとして。
文章にしてみると、セブン銀行のビジネスモデルは単純ですが、言うは易し行うは難しなビジネスモデルでもあります。
今までに無いビジネスモデルですし、預金を集めて融資を行うという手法に慣れている銀行マンにはなかなか受け入れ難いやり方でもあったと思います。
ただ、それだからこそ商機があったのだろうと思います。
新たな製品をヒットさせて成長する企業の話はよく聞かされますが、新たなビジネスモデルを構築して成長する企業もまたあります。
大切なのは柔軟で既存の固定観念にとらわれない発想だと思います。
そういう意味ではこのような発想は、これからも大切にされるべきだと思いますね。