やね日記

或る大阪在住Mac使いの道楽な日々

海帝第3巻、第4巻読了

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遅くなりましたが、ようやく星野先生の「海帝」第3巻と第4巻を購入して読んでみました。
当初よりは航海がゆっくりと進んでいますが、その分、並行して鄭和の生い立ちが語られていて、ありがちな宦官像とは異なる鄭和の為人がよく分かる展開になっています。

海帝第3巻

ジャワに到達した鄭和の艦隊。
ここには現地民の他に、商売で海を行き来する中国商人やアラビア商人たちもおり、鄭和たちに接触してきます。
大航海時代はこの半世紀ほど後から始まりますから、当時は中近東を抑えていたアラビア商人の天下だったわけで、そのことがよく描かれていると思いました。

作中で語られる鄭和の生い立ちから、なぜ鄭和が生きる意志がある人々を助け続けるかということが語られ、その壮絶さに息が詰まる感覚を覚えました。
だからこそ怨讐を乗り越え、後に全てを奪った張本人である燕王朱棣、後の永楽帝をも助けるという行動を取ることに繋がったのかなと思います。

宦官でありながら一兵士として戦場を駆け回ることを強制された鄭和だからこそ、この境地にたどり着いたのかもしれませんね。

海帝第4巻

ジャワからマラッカ海峡に到達した鄭和の艦隊。
マラッカ海峡は、今もなお海上交通の要所で海賊も出る地域ですが、当時は尚更というわけで、鄭和の艦隊は海賊と戦う羽目になります。

鄭和を庇って斃れた林陽など、鄭和に助けられた人々が命を使い切る様を見て、武士道と重なるものを感じました。
命は大切にして欲しいとは読んでいて思いますが、助けてもらった命を恩義ある鄭和のために使おうと考える林陽たちの思いも理解はできる気がします。

一方、並行して燕王朱棣が起こした靖難の役で燕王に従う鄭和(馬和)も描かれています。
そこでは鄭和が馬から鄭に姓を変えた経緯と先帝洪武帝時代に地位を奪われた鄭和も含めた宦官たちがなぜ地位を回復できたかが描かれていて興味深かったです。
また、同じ宦官でありながら、鄭和と蔡全人、並びに王契光の思惑や立ち位置の違いも浮き出されていてこちらも面白かったです。

第5巻は春頃に発売されるようなので、今から楽しみです。