やね日記

或る大阪在住Mac使いの道楽な日々

遠くて近い国

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既に数多くの熱烈なファンが、多くのサイトが様々な文章を書いているために、今までは私のところでは触れなかったワールドカップですが、今回のトーナメント戦については言いたいことがあったので、敢えて触れてみることにしました。

皆さんはトルコという国について、どのような印象をお持ちでしょうか?
イスタンブールのモスクでしょうか、経済危機にあえぐ国家としてでしょうか、それとも最近発生した大地震でしょうか?
ですが、トルコという国家が、近現代にかけてずっと親日的な国家であったということを知る人は少ないと思います。

なぜ親日的なのか?
事の発端は、1890年に和歌山県串本沖で発生したオスマン・トルコ帝国のエルトゥールル号遭難事件にまでさかのぼります。明治天皇に対し、オスマン・トルコ帝国の最高勲章を捧呈するために来日した提督を乗せていたエルトゥールル号は、串本沖で折りからの暴風雨のために沈没、オスマン・パシャを初めとする600名あまりの人が海に投げ出されました。
そのような中で奮闘したのが当時の串本の人々で、60名あまりの人々を救助し、亡くなった多くの人々も手厚く葬ったそうです。(このお話は、トルコの教科書にも載っていたそうです)
そして極め付けが、あの日露戦争です。
当時、極東の弱小国と思われていた日本が、トルコにとっても宿敵であったロシアを破ったという事実は、時のトルコの人々を熱狂させたそうです。そして、そのことが統一と進歩のための委員会(青年トルコ党)の結成をうながし、その後のケマル・パシャの登場、トルコ共和国の成立へと繋がっていったのです。(ちなみにケマル・パシャ、後のケマル・アタチュルクも非常な親日家であったと言われています。)
あの第二次大戦時でも、トルコは中立を貫き、アメリカを初めとする連合国の圧力に屈して日本に宣戦布告をしたのも1945年の2月のことでした。

ところで何故、こんなことを書いたかと言いますと、一部に自国の応援に熱心なあまり、他国を貶めるような風潮が見られるような気がしたからです。
これは様々な意味で我が国の市民の悪い癖のような気がするのですが、少なくとも我が国はホスト国の一つなのですから、相手国からも喝采を浴びるような試合や応援をして欲しいと思うのです。

長年、我が国の親しい友人であった人々を、このような祭典で傷つけることが無ければいいなと私は思っています。