このところメディア上を賑わせている、今月の上旬にライブドアがニッポン放送株を取得した事に始まる一連の騒動についてですが、今日も各メディアで動きがあったようですね。
事態は、政官財の鉄の三角形(メディアを入れると四角形ですかねえ)によるライブドアへの包囲網といった様相を呈していますが、その政官財の人たちの発言を聞いてるとなかなか笑えてきます。
一つ目は、法規制のすき間をぬったという観点から「グレーゾーン」という言葉をやたら強調してライブドアにダーティーなイメージを与えようとする動きですね。それも政官財を問わず。
ですが、グレーゾーン自体は本来は法整備の不備から発生するものですし、それで責任を問われるのは、法の制定を行なう立法府(国会)と法の執行を行なう行政府(政府)であるはずです。
もしも、行為がグレーゾーンだからといって批判されるのならば、いわゆるグレーゾーン金利で貸し出しを行なっている消費者金融や税制の網の目をくぐって節税を行なっている会社をも同様に批判すべきでは無いかと思いますけどね。
特に政治の当事者がそのような事に言及するのは、言外に自分の非を認めた事になるんじゃないかと思います。その時点でライブドアを批判するのは筋違いだと思いますし、法の守護者の発言としてはいささか逸脱しているのでは無いかとも思いますしね。
そして二つ目が「金で何でも買える」というホリエモンの発言をことさら強調する姿勢ですね。
ですが、個人的な道徳観はともかくとして、資本主義社会において、金で全てが買えるのは当然の理屈ではないでしょうか。
資本主義社会にはいくつかの国際的に普遍の原則というものがありますが、その主要なもの一つに、会社は「株主(出資者)」により多い配当をもたらすために利益を上げるというのがあります。決して経営者や従業員の給料のためでは無いんですよね。
むろん、この考え方は我が国での企業の考え方とは少し異なるのわけですが、だからと言って、我が国の考え方が世界に通用するわけではありません。故に、我が国の企業は海外の信認をも受けるために会計基準を世界基準に近づけようとしたり、コンプライアンス(法令遵守)をより厳格に進めようとしているわけですし、国もそれを後押ししているわけです。
ライブドアがメディアを買収することによって相乗効果がもたらされ、株主に配当がより多く還元されるのならば、それはまさに合理的な事ですし、その事自体に感情論とか道徳観とか浪花節なんかが入り込む余地は無いはずです。
どうしてもそれが嫌ならば上場を廃止してしまえばいいわけですよね。南アフリカのデ・ビアスみたいに。むろん、その時には大規模な資金調達は困難になりますから、そのリスクについては考えないといけないでしょうけども。
まあ、この一件についてはまだまだ動きが続きそうですし、私自身も不勉強な部分もありますので、しばらくは動きを追ってみようとは思っています。
フジテレビによるニッポン放送の子会社化一つをとっても、商法241条3項の規定によって起こる株主総会や会社支配の歪曲化が発生する問題もあるそうですし。(それについてはこの弁護士先生の日記が参考になるかと)
なかなか、興味の種は尽きないですね。
《追記》
コメントでご忠告を受けた通り、早とちりによる誤認がありましたので訂正をさせて頂きました。申し訳なかったです。
どうも、ななめ読みをしてしまう癖が抜けてないようで、我ながら情けないです。
ただ、訂正前に取り上げた日記でのお話は、もう一度読み返しても僭越ながらなかなか面白い論点だとは思いましたのでリンクだけは残させて頂きたいと思います。