やね日記

或る大阪在住Mac使いの道楽な日々

経済的な充足が政治的な安定をもたらすという法則を無視したツケが回ってきた

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安倍政権が小泉政権の政策に逆行したという河野氏の指摘は、一面ではその通りだと思います。
と言うよりは、小泉政権が行なった経済政策によって生まれた「ひずみ」に、安倍政権が何ら有効な手を打たなかったのが一番大きいのでは無いかと思います。
その「ひずみ」の最たるものが、いわゆる「格差」だと思いますが。それは漠然としたものでは無くて、地域同士の格差、企業規模の大小による格差、雇用形態による格差(いわゆる正社員と非正社員との間)、そして業種間の格差などが挙げられると思いますが、その中でも一番如実に現れているのは、おそらくは地域同士の格差だと思います。
国内の中では「比較的景気が良い」とされる東京とその周辺におられる方はピンと来ないかもしれませんが、東京、愛知などを除いた地方の経済状況は最悪です。おそらく、私が住む大阪でも90%以上の中小零細業者の方たちは「景気なんて全然良いことは無い」と答えると思います。まあこんな根拠の無い経験則を出すまでも無く、中小企業白書に掲載されている今年初頭の都道府県別の有効求人倍率が、北海道・北東北・山陰・四国・南九州で0.8以下であるという事実からも容易に推測出来ると思います。
そして、これらの地域は、ほぼ自民党民主党に惨敗した地域とも重なります。

今回の選挙では、民主党、とりわけ小沢党首の地方行脚が功を奏したという論調が随所でみられますが、この「国民の声を直に聞く」という手法はとりたてて独創的な手法とは言えません。 むしろ、安倍総理がこのような国民の生の声を聞くという手法を採れなかったというのが致命的だったのだろうと思います。
この原因についてはよくわかりません。安倍総理が永田町の周辺の景色しか見えてなかったのか、それとも、正確な我が国全域の経済状況が伝えられていなかったのか。
ただ言えることは、経済的な不満が時の政権への圧力になるという歴史上の法則が、安倍政権にも適用されたということなのだろうと思います。

ですが、これからが見物ですね。
衆参のねじれ現象の中での自民党公明党民主党との対決の中で、一体どのような経済政策が生まれるのでしょうか?
ただ、それが大衆迎合的な痛みを伴わないバラマキ策の出し合いと化してしまえば、長期的には今度こそ我が国は危ないと思います。
長期的な経済政策のグランドデザインを示し、それに伴って発生する痛みを率直に述べ、国民に理解を求めていくことが果たして自・公、とりわけ安倍政権に出来るのか。これからの国の動きは一つの試金石になるのかもしれませんね。
そしてそれは、逆に民主党にも言えることでもあります。
ここで国民にアピールが出来なければ、おそらくは新進党の二の舞を演じることになると思います。
ここが正念場ですね。