やね日記

或る大阪在住Mac使いの道楽な日々

民主主義国家のガバナンス

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まず、この主張には二つの前提条件が必要だと思います。
一つ目は、有権者が等しくSNSに参加出来る程度のリテラシーを持っていることです。もしそれが無く、利用にあたってリテラシーの低い有権者が不利益を被る可能性があれば、それは憲法が保障する平等権の侵害になりかねず、訴訟沙汰になる恐れがあります。
二つ目は、政策や法令の決定に長い時間をかけても問題が無い環境であるということです。全ての有権者が一堂に会するということは不可能です。また、全ての有権者に議論や採決(あるいは投票)の機会を与えなければ、これもまた平等権の観点から不都合が生じると思いますので、時間をかけて納得の行く意思決定が行なえる環境が必要となります。
まあ、この場合は危急を要する意思決定などに不都合が生じるとは思いますが。

私は、民主主義国家のガバナンスについては、どれほど通信技術が進歩しようとも、代議制は無くならないと考えています。
なぜならば、政策や法令などの意思決定については、迅速さを要求されるものも少なからずあるからです。
ある程度の納得が得られて、しかも迅速な意思決定が行われるためには、専任の代弁者が必要になってきます。そう言う意味では代議制は無くならないでしょうね。
ただ、確かに解散があるとは言え、4年ないし6年の任期では有権者の時々の意志が正確に反映されない恐れもありますし、議員と有権者との間の意思疎通の問題もあると思います。
そこで参考になるのは、株式会社組織における取締役会と株主総会の関係だと思います。
株式会社の通常の意思決定は取締役会の議決だけで行われることが多いですが、重要事項については株主総会の決議が要求されます。
また、その重要度によって、出席株主の議決権の過半数が必要な普通決議、出席株主の議決権の3分の2以上が必要な特別決議、そして詳細は省きますが特殊決議と様々な高さのハードルが設定されています。
議員と有権者との権利義務関係や直接投票制度など政治的な体系については私も素人なのでよく分かりませんが、意思決定の迅速度と重要度に応じて、議会での議決だけで済むものや直接投票を要するもの(重要度に応じて過半数や3分の2などハードルを分けても良い)などに整理する方が、有権者の意見をより反映させるという意味ではより重要なのでは無いかと思いますね。
まあ、有権者の政治に対する無関心や無力感、議員の自助努力の欠如などによって、我が国の意思決定手法が制度疲労を起こしているのは事実ですけどね。そう言う意味では、今回の政権交代には期待しているのですが、果たしてどこまで出来るものかなと今は思っています。