やね日記

或る大阪在住Mac使いの道楽な日々

ようやく映画「レ・ミゼラブル」を観てきました

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法律と風習とによって、ある永劫の社会的処罰が存在し、かくして人為的に地獄を文明のさなかにこしらえ、聖なる運命を世間的因果によって紛糾せしむる間は、すなわち、下層階級による男の失墜、飢餓による女の堕落、 暗黒による子供の萎縮、それら時代の三つの問題が解決せられない間は、すなわち、ある方面において、社会的窒息が可能である間は、すなわち、言葉を換えて言えば、そしてなおいっそう広い見地よりすれば、地上に無知と悲惨とがある間は、本書のごとき性質の書物も、おそらく無益ではないであろう。
ヴィクトル・ユゴー著・豊島与志雄訳「レ・ミゼラブル」(岩波文庫)前文より

 

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ちょうど私事で多忙を極めていたので、観ようと思いつつなかなか時間が取れなかったのですが、ようやく映画「レ・ミゼラブル」を観ることが出来ました。
この作品はご存知の通り、アラン・ブーブリルとクロード・ミシェル・シェーンベルクによって作られたミュージカル「レ・ミゼラブル」をベースに映画化されたものです。ミュージカルで使用されている曲目もふんだんに盛り込まれていて、ミュージカルを観たことがある人は、より楽しめたのではないかと思います。

中でも、Forgivenが流れたミリエル司教とバルジャンとのシーン、エポニーヌが歌うOn My Own、そしてDo You Hear The People Sing?が流れたラマルク将軍の葬列のシーンがとても印象に残りました。
レ・ミゼラブルが特に印象的なのは、バルジャンとジャベール、バルジャンとフォンティーヌ、そしてマリウスとコゼットなど、キャラクターを一対一でクローズアップさせる手法が、よりキャラクターの印象を強くしているんですよね。その上に曲が関連づけられたフレーズと共に流されることによって、よりシーン毎の印象が強くなるように工夫されています。
何よりも、ミュージカルではどうしてもキャラクターの動きが抽象的になってしまいますが、映画の中で活き活きと動くことで、よりリアリティを感じることが出来ました。
原作のテーマである、法律や風習など自分自身ではどうにもならないことによって人生が翻弄されてしまう人々の悲惨さが、十二分に伝わってきたように思います。

DVDかブルーレイが出たら、買ってみたいと思います。
久々に感動しっ放しの映画でした。