映画を観て、今一度終戦前後の歴史を見ておきたいと思い、この「日本のいちばん長い日」の原作を休暇を利用して読んでいました。
ただ、その原作だけでは、終戦日直前の話が主体になってしまうので、鈴木内閣で内閣書記官長(現在の内閣官房長官)を務めた迫水久常氏が著した、この「大日本帝国最後の4か月」も併せて読んでみました。
読了して感じたのは、終戦自体が正に綱渡りであったという一点ですね。
一歩間違えれば、軍部のクーデターの発生により、本土決戦へまっしぐらという事態も現実の物になっていたでしょうし(事実、宮城事件も発生しましたし)、そうなれば、果たして私が生まれていたかと思うと、背筋が寒くなる感覚を覚えます。
改めて、先人たちの労苦に感謝する次第ですね。
ただ、私の祖父は8月10日の終戦直前にフィリピンで戦死し、遺骨はまだ見つかっていません。
8月を迎えるに当たり、その事を思い出すにつけて、もっと早く戦争が終わらなかったのかと感情的に思う事もあります。
ですが、これらの史実を読んでいると、個人の想いとは別に、多くの人々の意思を統一し、幕引きを図ることの難しさも感じるわけです。
その難しさがあるからこそ、戦争はなるべく起こしてはいけないものだと思います。
クラウゼヴィッツの戦争論では、戦争は外交の一手段というような書かれ方をしていますが、個人的には戦争は外交の失敗の一形態であろうと考えます。勝っても負けても、多くの人命と国富とを費消しますしね。
残念ながら現在においても、恒久の平和というものは保障されてはいませんが、戦争を避ける努力を怠らない事は可能であると思います。
その努力を続け、先祖から受け継いだ我が国を未来に繋ぐ事は、先の戦争で非命に斃れた多くの先人たちに対する私たちの責務ではないかと思います。
無用の戦はなるべく避けたいものです。