大河ドラマらしい群像劇でした
この1年間、大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」を観てきました。
今回の大河ドラマは最初から最後まで鑑賞し切った人でないと、この面白さは分からないかなと思いました。
金栗四三と田畑政治という2人の主人公を軸に、嘉納治五郎を初めとする先達たちがオリンピックを我が国に広めていく過程と古今亭志ん生という落語家を絡めた構成、そして、増野夫妻から小松夫妻、五りんへと繋がる三世代に亘る物語と、まさに大河ドラマらしい群像劇に仕上がっていました。
特にラストの1964年東京オリンピック開催までの、これまでの多くの伏線を回収して大団円を迎えたストーリーは圧巻で、さすがは宮藤官九郎さんだと思いました。
残念ながら視聴率的には振るわず、出演者の不祥事によるドタバタもありましたが、個人的にはとても楽しめた大河ドラマでした。
多くの視聴者にとっては戦国や幕末が大河ドラマの舞台なんでしょうね
おそらくこの作品は、大河ドラマと言えば戦国時代や幕末と考えているコアな視聴者層からは最初から受け入れられなかったのかなと思ったりしました。
大河ドラマではなく連続ドラマとして放送されたら、ここまで視聴率的には低迷しなかったとも思いました。
また、過去の「近代大河」の挫折に象徴されるように、大河ドラマで明治以降の近代日本はなかなか取り扱いが難しいですしね。理由としては、明治以降がまだ「歴史」になり切っていないというところがあると思います。特に、太平洋戦争などの十五年戦争はまだ体験した人で健在な方もおられますし、「歴史物」として大河ドラマの題材として使うのは非常に勇気がいったのだろうとは思います。
これに懲りずにまた「近代」を取り上げて欲しいと思います
ただ、多くの人々の生き様があったという点では、戦国時代も幕末も、そして近代も等しく「歴史」であると思います。
だからこそ、歴史物としての大河ドラマでも近代は積極的に取り上げられるべきだと思います。
特に、我が国の歴史教育において近代の比重は極めて低いので、ドラマはもちろん、小説や漫画などからも近代に興味を持ってもらうのは重要なことではないでしょうか?
まあ、観る人が少なければテレビドラマとしては意味がないのかもしれませんが、これからも積極的に取り上げては欲しいと思います。
来年は戦国、再来年は幕末と再びオーソドックスな大河ドラマになりそうですが、それでも再来年の渋沢栄一が主人公の「青天を衝け」の後半部でどのような近代が描かれるか、そこに期待したいと思います。