この消費者の心理を利用した手法は面白いと思いました。
良い意味でですね。
人は自分が欲している量に比べて買える量が少ないと感じると、その物の価値が高く思える心理状態になることがあります。
それを「希少性の原理」と言いますが、今回のマスクやトイレットペーパーなどの騒動は、まさにこの「希少性の原理」が作用したものだろうと思います。
では、この「希少性の原理」の作用を抑えるにはどうすれば良いか?
それは逆を張ることです。
すなわち、人が欲している量以上に買える量を供給すればいいわけですね。
そうすれば、人は物の希少性を感じなくなるというわけです。
イオンが行ったのはまさにそれで、うず高く積まれたトイレットペーパーを見せて、家庭で備蓄する以上の販売が出来ることをアピールすることで、「希少性の原理」が作用することを抑えたわけです。
このように消費者へ目に見える形でアピールを行う手法としては、1973年に発生した豊川信用金庫の取り付け騒ぎの際に、信用金庫本店の金庫室前に日本銀行から輸送された現金をうず高く積み上げることが行われています。個人的に今回はそのことを思い出しました。
なお、今回この「希少性の原理」が発生した理由としては、信じたいことだけを信じる多くの人の心理と何が起こるか分からないという先に対する不安感が合わさって、人々の不信感が増幅したことが挙げられると思います。
この不信感を解消するには、先のイオンのように個々の企業が機転の効いた対応をすることも大切ですが、何よりも国が今の非常事態をいつまでに終わらせるかを明確に示すことで、国民の先への不安を和らげるよう更に努力することが大切だろうと思います。
おそらくは来週までが正念場だと思いますね。