自筆証書遺言は、無開封のまま裁判所で検認を受ける必要があることや、改ざん、隠匿の可能性、そもそも見つけられないといった問題などがありました。
他方、公正証書遺言は、裁判所の検認は不要ですが、証人を2名必要とすることや、遺産の額によっては少なからぬ費用が発生するといった問題がありました。
今回の法務局による自筆証書遺言の保管制度は、自筆証書遺言、公正証書遺言それぞれの短所を補える可能性があります。
最大の利点は、裁判所の検認が不要になることでしょう。
わざわざ裁判所に出向くこと自体が手間ですしね。
また任意ですが、遺言書が法務局に保管されている旨を相続人か受遺者、または遺言執行者などの内から1名に通知する制度も設けられているのも、遺言の事実が速やかに分かるという点では利便性が高いと思います。
もともと市区町村に提出する死亡届は一定期間を経過すると法務局に送付されることになっていて、今回はそれを活用したと思われますが、うまく考えられているとは思います。
自筆証書遺言は、文字通り自筆で遺言書を作成する必要がありますが、昨年から財産目録についてはパソコンによる入力が認められるなど、簡略化が進められています。
法務局による保管制度と併せれば、自分の意思で遺産をあげたい相手がいる時に、以前に比べると格段に使い勝手が良くなっているとは思います。
これで自筆証書遺言を利用する人が増えるかもしれないですね。
後は電子媒体での遺言が認められるようになればとは思いますが、これは本人の意思確認の問題もありますし、すぐには実現しないと個人的には思います。
実現すれば、より利便性が上がりますけどね。
まあ、電子媒体の本人の意思確認はペーパーレス共通の課題だとは思いますので、早くクリアしてもらえればとは思いますね。