やね日記

或る大阪在住Mac使いの道楽な日々

半藤一利先生を悼む

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半藤一利先生が今月亡くなられました。

私が半藤先生を知ったのは、あの「日本のいちばん長い日 運命の八月十五日」でした。
以前にこの日記でも書きましたが、私の祖父は終戦5日前の8月10日にフィリピンのブラカン州で戦死していて、子供の頃はなぜもっと早く終戦を迎えられなかったのかとずっと思っていました。
しかし、半藤先生の作品を読み、太平洋戦争を終わらせるのがいかに困難だったかを知ることで、むしろ、無事に終戦を迎えることが出来たことの方が貴重だったのだと思うようになりました。

冒頭の文春の半藤先生へのインタビューを読んで感じたのは、これまでの半藤先生の作品でも感じたことですが、人はそれぞれの時代の流れに翻弄されやすいからこそ、その時々の時代を真正面から見据え、冷静な対応を図ろうとする指導者や政治家、思想家などの存在が大切だということでした。
そして、これらの人々は私が個人的にも尊敬している人々でもあります。

昭和天皇の御聖断を引き出し、軍部の暴発を抑えて太平洋戦争を終戦まで導いた鈴木貫太郎元総理。「小日本主義」を貫き、終戦直後においても「更正日本の針路」と題して「更正日本の前途は洋々たるものあること必然だ」と喝破した石橋湛山元総理。
他にも多くの尊敬すべき人々がいますが、それぞれの時代の狂気に囚われずに冷静に事実を見つめて処方箋を示す人々はこれまでにも多く現れましたし、そして、これからも多く現れると個人的には信じています。

この冷静な視点を持つ人々を作品の中で紹介し続け、また、そのような人々がいる事を私に気づかせてくれた半藤先生には感謝しかありませんし、それだけに、大往生とは言いながらも亡くなられたことには痛惜の念を禁じえません。

だからこそ、これからも来るであろう時代の波に惑わされずに冷静な視点を持ち続けるためにも、様々な歴史を学び、冷静な視点を持ち続ける姿勢を個人的にも大切にし続けたいと思います。