やね日記

或る大阪在住Mac使いの道楽な日々

佐島勤著「魔法科高校の劣等生」

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今年7月から9月まで放送された「魔法科高校の優等生」を観ていて興味が湧いたので、今更ながら原作の「魔法科高校の劣等生」本編32巻とショートストーリー1巻、スピンオフ3巻をKindleで一気読みしてみました。
久しぶりにライトノベルを読みましたが、結構な長編でさすがに時間がかかりました。
ただ、時間をかけた甲斐はあったかなとは思いました。

本作は言わば、近未来と魔法、そして学園ものの三題噺ですね。
また、主役とその友人たちだけでなく、多くの人々が登場する群像劇でもあります。
個人的にはこのような多くの登場人物が関わる群像劇は大好きなので、非常に楽しく読ませてもらいました。

全体としては、世界観や理論としての魔法、そして技術の進歩などといった物語の背景が極めて精緻に作られていて、その上で物語そのものが違和感なく進められていると個人的には感じました。
中でも面白いと思ったのは、熱核兵器への抑止力としての魔法の位置付けやその魔法の科学的な描写など未来を感じさせるものがある一方で、世界が統一政体ではなく大国が群雄割拠する中でかつての冷戦時代のようないつ紛争が起こってもおかしくない緊張感を孕んだ描写もあり、なかなかリアリティのある設定だと思いました。

その中で主人公である司波達也や妹の司波深雪が活躍していくわけですが。
………スーパーマンですね。
様々なライトノベルを読んできましたが、ここまで圧倒的に強い主人公は今までに見たことがなかったです。
それだけに長い物語を安心して読める部分はありましたけどね。
また、その非常に細かい設定ゆえに、途中でこの物語特有の用語や描写が理解できない部分が個人的には多々ありました。
途中で何回も読み返す羽目になりました。

ただ、こういった複雑な世界観や様々な登場人物の思惑、その中で繰り広げられる戦闘やアクションが好きであれば、個人的にはお勧めできるライトノベルだと思います。
近未来ものとしてはリアリティは抜群ですしね。
緊迫したシーンだけではなくユーモア溢れる描写もありますし、ファンタジーとしての魔法に親しんでいる人にも楽しめる作品だと思います。

この作品自体は昨年完結しているようですが、続編が刊行されているようですし、また機会があれば読んでみようと思います。