やね日記

或る大阪在住Mac使いの道楽な日々

新九郎、奔る! 第9巻と昭和天皇物語 第9巻

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新九郎、奔る! 第9巻

今川義忠の遠江侵攻とその後の横死で窮地に立たされた今川家。
さらに嫡男の龍王丸が幼少ということから家臣団が動揺した挙げ句に御家騒動が勃発。
そこで亡き義忠の正室伊都の弟である新九郎が駿府へ赴くことに。

これまでの北条早雲伊勢新九郎)の伝記では、この今川家の御家騒動で行った調停が新九郎の関東土着のきっかけとなったとされていましたが、この作品ではあくまでも幕府評定衆摂津之親の配下として駿府に赴く形となっています。
ちなみに摂津之親は、大河ドラマ麒麟がくる」で策謀家として登場した摂津晴門の曽祖父ですね。

幕府の一員として調停に赴いたといっても、今川の家中だけでなく御家騒動に介入してきた堀越公方扇谷上杉家にも対応しなければならず、二十歳そこそこの新九郎には荷が重かったと思います。
特に扇谷上杉家の家宰であるあの太田道灌には、完全に手玉に取られていましたしね。
ただ、新九郎にとってはいい経験だったでしょうし、次の駿河での展開までに新九郎がどう成長するかは楽しみになりました。

昭和天皇物語 第9巻

満州事変の勃発からなし崩し的に関東軍主導で満州に進軍する帝国陸軍
その詳細が伝えられないことや自身の意見を軍や政府へ伝えられないことに苛立つ裕仁天皇
田中義一総理の顛末で懲りた面はあったのだろうと思いますが、天皇の姿勢がこのように抑制的でなかったならばと思うと残念に思う時があります。

一方で立て続けに起こった政財界要人の暗殺。
一般人が拳銃を持っていることに違和感を覚えていましたが、考えてみれば当時は現代ほど銃規制が厳しくありませんでしたし、徴兵制により一般市民でも銃の扱いに長けていたのだろうと思います。
そう考えると今の銃規制は社会の安定に必要不可欠だろうと思いました。

政治の世界で鬱屈とした日々を過ごす天皇に対して、かつての養育掛であった妻のタカを対面させたり、皇后へ天皇の側に居てもらうよう願い出たりと天皇への配慮を欠かさない鈴木侍従長はまさに名侍従長といってもいいと思います。
この時に培われた君臣の関係が後の結末へと繋がることを思えば、やはり歴史を動かすのは人同士の信頼関係なのだろうとは思いました。