8月の新刊でしたが、ようやく読み終えました。
今回は今川家のお家騒動第二幕の後半部です。
冒頭のイラストはいま一つの可能性であった今川家中のシーン。
ですが現実は言わずもがなですね。
船で清水へ渡り、そこから駿府を目指す新九郎一行。
以前に密談をしていた国人がとうとう明らかになりました。
どうやら新九郎は、相当数の国人を味方につけることに成功していたようです。
小鹿新五郎が健在であればこのようなことにはならなかったとは思いますが、病で統率が取れなくなってしまいましたしね。
小鹿新五郎個人としては決してこのような展開は望んでいなかったと思いますが、それぞれに国人衆が味方について対立を深めれば、個人の思いだけではどうにもなりませんし。
為政者にとってお家騒動は付き物ですが、それは為政者本人の思いというよりは取り巻きの思惑が先走るというのが、今回の今川家の一件でもよく分かると思います。
そしてついにお家騒動は、龍王丸方が勝利へ。
この戦いで新九郎は今川家中で確固たる地位を築いたというのがこれまでの歴史物語でしたが、この作品では外様の立場で今川家中に物申すことに四苦八苦する姿が描かれていました。
やはり新九郎は苦労人ですね。
ただ今回の働きで今川家だけではなく、堀越公方からも所領を得ることになり、新九郎一行にもようやく運が向いてきたのかなとは思いました。
もっとも、今川家の次は将軍の後継争いというわけで、新九郎にとってはまだまだ試練は続くといった感じです。
将軍と言えば。
長らく京を不在にしていたせいで、とうとう将軍義尚とは疎遠になってしまった新九郎。
ただ、新九郎の性格からしても、在京のままでもやがては疎遠になったと思います。
義尚自身はもう先が長くないですが、それまでに新九郎は何かできるのかとは思いますね。