やね日記

或る大阪在住Mac使いの道楽な日々

選挙の秋の終わりに

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はじめに

今年の秋は、個人的には「選挙の秋」でした。
また、今年に入ってから萌芽は見えていましたが、ネットと選挙という関係においても特筆すべき選挙が続いたように思います。
今回は、今年10月から11月にかけて行われた選挙を通じて、長文ではありますが私なりの考えを述べたいと思います。

なお、この記事以降、マスメディアのことをオールドメディアと表記したいと思います。

第50回衆議院議員総選挙

政治資金不記載問題を機に、総理総裁の交代や衆議院の解散がなされ、今回執行された第50回衆議院議員総選挙
結果は大方の予想通りに与党が過半数割れに追い込まれました。
その代わりに野党が躍進したわけですが、意外だったのは立憲民主党の比例票の伸び悩みと、国民民主党の躍進でした。

立憲民主党は大幅に議席を増やしましたが、比例票を見る限りでは、政党としての投票先として与党の批判票の受け皿になり得なかったというところでしょう。これは有権者が何を基準にして政党を選んでいるかを考える上では興味深い傾向だと思います。
国民民主党については、もともと支持母体である連合の票に加えて、無党派層の取り込みに成功したことが躍進の理由だと思います。
ただ、問題は今後でしょうね。
公務員や大手企業の労働者が主体の連合に支援されている政党が、本当に中小企業で働く労働者のための政策を行うことができるのかが見物だと思っています。
期待は容易に失望に転じますし、特に来年からは要注目だと思っています。

維新については、政策面で完全に国民民主党にお株を奪われた上に、創設メンバーであった橋下徹氏の猛批判や兵庫県知事の問題への対応などで議席数を減らした感じです。
ただ、大阪ではあの公明党すら抑えて全勝するなど圧倒的な存在感があります。わが国のCSU*1とも言うべき立ち位置にあるのかなと思います。CSUと異なるのは、与党の自民党とは是々非々の関係にあるところではありますが。
維新は他党と異なるボトムアップ型の政党として、どこまで地方の課題を国の施策に反映させることができるかと言ったところだろうと思います。他党と異なり支持母体がないだけに、常に無党派層の訴求できる政策を提言し続けることが肝要だと思いますね。

2024年アメリカ大統領選挙

オールドメディアの報道では接戦との話でしたが、蓋を開けてみればトランプ氏の大勝でした。
加えて共和党は上下両院でも多数派を占めるトリプルレッドとなり、当面民主党は下風に立たされることになりました。

この理由としては、大統領選挙に至るまでの民主党内のゴタゴタに加えて、民主党政権の経済政策に対する不満が相当に溜まっていたのだろうと思います。
僅差ではなくここまで大差がついたということは、民主党内でも衝撃が走ったでしょうし、党内の抜本的な見直しは避けられないと思います。

あとはオールドメディアの凋落ぶりでしょう。
接戦という報道がずっと目立っていましたが、結果はそうではなかったですしね。
オールドメディアの報道姿勢に先入観がなかったのかとは思いました。
X(旧Twitter)の会長であるイーロン・マスク氏がトランプ氏に肩入れしたことなどでSNS上の情報を疑問視する報道が数多くありましたが、むしろSNS上にこそ判断材料としての様々な角度の情報が流れているのではと感じました。

2024年兵庫県知事選挙

最後は大阪の隣県で執行された兵庫県知事選挙について。
県議会全会一致の不信任決議による斎藤知事の失職により行われた選挙でしたが、最後まで異例な選挙だったように思います。
特に斎藤氏については、最初はほぼ一人での辻立ちによるお詫び行脚からの始まりでしたが、投票日前日には多くの聴衆が詰めかけるまでになりました。そこにSNSが大きな役割を果たしたことに間違いはないと思います。
ですが、ここで大事なのは、人々がなぜSNSで積極的に情報発信を行ったかというところでしょう。
そこにはオールドメディアに対する強い不信感があったと個人的には思います。

知事選挙に至るまで、オールドメディアの報道はほぼ斎藤氏を一方的に批判するだけでした。
そのような中でも、斎藤氏は「パワハラ」や「おねだり」などを否定し続けていました。
そのオールドメディアの報道姿勢と、斎藤氏の主張の違いに、違和感を持った有権者が多かったのではないかと思いますね。

この選挙後、オールドメディアはこれまでの報道姿勢を反省するどころか、自分たちの報道と相反するSNS上の情報発信を敵視する報道やPR会社絡みでさらに斎藤氏を責め立てる報道を続けています。
その学習能力の無さには呆れるしかないですね。

終わりに

以上、先月から行われた三つの選挙について感想を書いてみました。
これらの選挙を通じて私が感じたのは、「オールドメディアの衰退」と「選挙における経済政策の重要性」でした。

前者については、特に兵庫県知事選挙が象徴的だったと思います。
様々な角度からの情報発信がなされていたSNSに対して、オールドメディアはついに一方的な斎藤氏批判を止めないまま選挙戦に突入しました。
もちろんSNSからの情報は玉石混交でしたが、有権者には様々な角度からの判断材料を与えたと思います。
一方、その判断材料を与えなかったことが、オールドメディアに対する信頼性を失わせたのでしょう。
あまつさえ、この選挙後においてもオールドメディアは、それらに対する反省をするどころかSNSの規制に言及すらしています。
これではオールドメディアはますます衰退する一方でしょう。
自浄作用がなければ、オールドメディアはますます視聴者から乖離する一方だと思います。

後者については、特に衆議院選挙とアメリカ大統領選挙で顕著だったと思います。
衆議院選挙においては裏金問題が、アメリカ大統領選挙ではトランプ氏に対する人格攻撃がそれぞれ顕著でしたが、大多数のそれぞれの有権者が問題にしたのは経済政策でした。
それが近年の政治の潮流なのでしょう。
どれほど高尚なことを政治で訴えても、経済的な充足をもたらす訴えができなければほとんどの有権者は見向きもしないのだろうと思います。
そこを各政党は考える必要があると思います。

オールドメディアも政党も、いかに真摯に国民と向き合うかが重要だと思います。
国民を舐めてかかっていると今回のようなしっぺ返しを喰らう。
そのことがよく分かった、この秋の様々な選挙だったように思いますね。

*1:Christlich-Soziale Union in Bayern e.V. - バイエルン・キリスト教社会同盟。ドイツの政党の一つ。