今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」が48話で終了。
感想を書くのは控えていましたが、大河フリークとしては毎回見ていました。
遅まきながら全話を通じての感想を書いてみたいと思います。
朝廷の権力闘争の描写がある意外に骨太な大河ドラマでした
今回の主人公は源氏物語を著した紫式部が主人公ということで、雅な宮廷文化の描写が多いのではと思っていましたが、蓋を開ければ意外に骨太な大河ドラマでした。
まずは頻繁に陣定*1が登場し、天皇と藤原兼家、後にはその子らとの確執や貴族同士の確執などが細かく描かれていたのに驚きましたね。
後は平民はもちろん、貴族の中でも藤原兼家ら藤原北家九条流*2と他の藤原一門の格差も描かれていて、藤原北家でも傍流である紫式部*3の実家の貧しさの背景もよく理解できましたし。
藤原道長の描写が最高権力者らしくなくてかえって良かったです
本作品では、藤原道長の描かれ方も良かったですね。
藤原道長と言えば、作中にも出てきた「望月の歌」のエピソードに象徴されるように藤原氏の全盛期を築いた時の最高権力者としてのイメージがありました。
ですが一条天皇との確執や公卿たちをまとめる苦労など、等身大の一人の人間としての描かれ方がされていたのには好感が持てましたね。
また、史実が不明な点を利用して藤原道長と紫式部との関係性をより強めたのは、大河ドラマならではだと思いました。
ドラマも含めた歴史「物語」の真骨頂は、史実にフィクションを交えることでより史実を際立たせる点にあると個人的に思っています。
その点で「光る君へ」は立派な歴史「物語」だったと思います。
終盤に刀伊の入寇を持ってきたのも良かったです
後、特筆すべき点としては、あの刀伊の入寇*4が映像化された点も嬉しかったです。教科書では数行程度しか触れられないものでしたが、元寇に並ぶ外国勢の襲来ということで、映像化されたのは歴史フリークとしてもまさに歓喜でした。
藤原隆家に絡めて武士団の描写があったのは、この映像化の伏線もあったようですね。
また武士の存在感が増したりと道長死後の戦乱を予感させるラストは、摂関政治から院政そして武家政治へという時代の流れを想起させるもので、こちらも大河らしい描き方だと思いました。
全体として、大河ドラマらしい作品だったと思います。
個人的にも平安時代の貴族政治についての理解も深まりましたし、見続けて良かった作品でした。
楽しかったです。