やね日記

或る大阪在住Mac使いの道楽な日々

デ・ビアス

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昨日の日経の国際面に、南アフリカに本拠を置く国際的なダイアモンド・シンジケート、デ・ビアス社が、上場を廃止し再び非公開企業に戻るという記事が載っていました。「デ・ビアス」という言葉で、私は久しぶりに広瀬隆氏の「赤い楯」という本のことを思い出し、この本を読んでみました。そしてこの本を読んでの感想じみたものをつらつらと書き綴ってみようと思います。
南アフリカはご存じの通り、最近までアパルトヘイトという人種隔離政策をとっていた国であり、また金・ダイアモンド・ウランといった鉱物資源に恵まれた国でもあります。そしてそれらの鉱物資源を背景に以下の三大企業が南アフリカの経済を握ってきました。
ダイアモンドの「デ・ビアス」、金の「アングロ・アメリカン」、そしてウランの「リオ・チント・ジンク」です。このうち「リオ・チント・ジンク」だけがイギリスの企業で、残り二つが地元南アフリカの企業であり、オッペンハイマーという一族が経営権を握っている企業でもあります。
実は、アパルトヘイトを単に人種差別の問題としてだけで捉えるのは大きな間違いで、この政策の下、安い黒人の労働力を使って鉱物資源を採掘し、独占的な販売ルートを確保して、世界に対してこれらの資源を販売してきたこれら三大企業の存在が、アパルトヘイトの廃止を長い間妨げてきた要因でもありました。経済権益が改革を妨げるのは別に我が国に限った話ではないようです。
そして現在、アパルトヘイトは廃止され、製造単価の高騰と競合する企業が独自に販路を確保したことにより、デ・ビアス社のシェアは約66パーセントにまで落ち込みました。これを凋落と見るか、不公正な経済の有り様が改善されたと見るべきか…、私は後者の方だと思いますが皆さんはどうでしょうか?