やね日記

或る大阪在住Mac使いの道楽な日々

マールバラ公爵家とスペンサー伯爵家

スポンサーリンク

今日、歴史群像の6月号を購入したのですが、その中にスペイン継承戦争におけるブレンハイムの合戦の記事があったので、興味を持って読んでいました。

ブレンハイムの戦いは、当時の欧州を代表した名将のうちで、イギリスの初代マールバラ公ジョン・チャーチル神聖ローマ帝国大元帥サヴォイア公子オイゲン(プリンツ・オイゲン)がその知略を如何なく発揮した戦いとして知られています。
特に初代マールバラ公ジョン・チャーチルは、一代で貧しいジェントリーの家から公爵にまで上り詰めた傑物で、この戦いの勝利によって、彼は時の君主であるアン女王より宮殿造営の資金を下賜されました。そこで造営されたのが世界遺産にも指定されているブレニム宮殿(ブレニムはブレンハイムの英語読み)で、現在でも11代マールバラ公爵が住んでいるそうです。

ところでマールバラ公爵家で思い出したのが、かつてのイギリス首相ウィンストン・チャーチル卿と故ダイアナ妃が同じ係累に繋がるという話でした。

と言っても、かなり遠縁なのですけどね。
一代で公爵にまでなった初代マールバラ公が亡くなった後、様々な事情で公の次女アン・チャーチル公爵家の相続人となるのですが、彼女は3代サンダーランド伯チャールズ・スペンサーと結婚していました。そこでチャールズとアンの間に生まれた二人の息子の内でチャールズ・スペンサーがサンダーランド伯の爵位を持ったまま3代マールバラ公爵となりました。これが現在のマールバラ公爵スペンサー・チャーチル家の始まりです。ちなみに、故チャーチル首相のフルネームはウィンストン・レオナード・スペンサー・チャーチル卿と言い、7代マールバラ公の次男でイギリス蔵相もつとめたランドルフチャーチル卿の息子にあたります。

ところでチャールズとアンのもう一人の息子であるジョンは、爵位を持たず生涯を平民として過ごしたのですが(と言っても、スペンサー家伝来の所領は相続しています)、息子の代に男爵位が与えられ、さらに4年後に位階を伯爵へと進めました。これが現在に続くスペンサー伯爵家の始まりで、故ダイアナ妃は8代スペンサー伯エドワードの娘にあたります。

ちなみにこの両家に共通する先祖、すなわちサンダーランド伯爵家の出自はなんと羊飼いでした。羊飼いが富を蓄えて男爵となり、王政復古後のスチュアート朝の復活に伴ってサンダーランド伯となっていったという話には、何となく下剋上が相次いだ我が国の戦国時代を彷彿とさせるものがあるような気がしますね。

参考文献:「イギリスの大貴族」海保眞夫著平凡社新書