犯罪統計から考える「大阪の引越ししない方がいいエリア」ランキング
上の記事の中では、いずれも東大阪市が上位に来ていますが、東大阪市民は怒っていいと思います。
かく言う私も怒っています。
東大阪市のイメージが悪く書かれた記事ということがありますが、それ以前に統計の基本を無視して一方的に地元が悪しざまに書かれたので余計に腹が立ちました。
統計の基本を無視しているというのは、下記の三点です。
- 市区町村の実数値のみで比較を行っている。
- 政令指定都市でかつ大阪府下で1・2番目に人口が多い大阪市と堺市は行政区別で比較を行っている。
- 市区町村間では人口や面積の差が大きいのに、その点が考慮されていない。
人口差を考えれば発生率で比較するのが基本だと思います。
発生件数という実数値で比較すれば、政令指定都市は行政区別に集計されているので、どうしても大阪市や堺市以外の人口の多い市が不利になります。
つまりはバイアスがかかっているので、単純な実数の比較だけでは意味がありません。
そこでエクセルを使って大阪府下で人口が多い5都市を発生率で比較してみることにしました。
人口は平成28年度大阪府統計年鑑に収録されている平成28年の推計人口を利用。
まずは各都市の実数をまとめました。
※人口・犯罪件数の実数(単位:人・件)
人口 | 凶悪犯 | 粗暴犯 | 空き巣 | 自動車盗 | バイク盗 | 自転車盗 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
大阪府 | 8,837,812 | 690 | 4,891 | 1,578 | 1,392 | 3,431 | 29,099 |
大阪市 | 2,702,033 | 365 | 2,604 | 527 | 403 | 851 | 13,571 |
堺市 | 837,603 | 48 | 417 | 141 | 183 | 371 | 2,480 |
東大阪市 | 500,463 | 32 | 205 | 90 | 147 | 333 | 1,911 |
枚方市 | 402,927 | 20 | 129 | 44 | 33 | 138 | 567 |
豊中市 | 396,014 | 13 | 116 | 50 | 43 | 70 | 930 |
続いて人口と犯罪件数から発生率を計算。
人口は年齢別人口は考慮しませんでした。
あくまでもざっくりと出したいだけだったので。
※犯罪の発生率(単位:%)
凶悪犯 | 粗暴犯 | 空き巣 | 自動車盗 | バイク盗 | 自転車盗 | |
---|---|---|---|---|---|---|
大阪府 | 0.008 | 0.055 | 0.018 | 0.016 | 0.039 | 0.329 |
大阪市 | 0.014 | 0.096 | 0.020 | 0.015 | 0.031 | 0.502 |
堺市 | 0.006 | 0.050 | 0.017 | 0.022 | 0.044 | 0.296 |
東大阪市 | 0.006 | 0.041 | 0.018 | 0.029 | 0.067 | 0.382 |
枚方市 | 0.005 | 0.032 | 0.011 | 0.008 | 0.034 | 0.141 |
豊中市 | 0.003 | 0.029 | 0.013 | 0.011 | 0.018 | 0.235 |
あくまでも個人的な感想ですが、凶悪犯や粗暴犯は人口の集積と相関があるのかなと思いました。
一方、自転車盗は駅の数が影響しているのではないかと思います。駅前には自転車の駐輪が多いですし、他の市に比べれば枚方市は駅の数が少ないですしね。
ただ、いずれの市も発生率は1%未満なので、犯罪の地域性は考える必要は無いとは思いました。
重要なのは市区町村という行政区画よりも周辺の住環境を調べることでしょう。
数字はあくまでも目安ですし、1%未満の比率しか出ないのであれば、数字そのものはあまり重要ではないと思いますしね。
引っ越しについては、ミクロな視点の方がより重要だと思います。