やね日記

或る大阪在住Mac使いの道楽な日々

風雲児たち幕末編 第33巻

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大老井伊直弼の横死後、学習院(京都学習院)を根城にする過激な攘夷派公家や薩・長・土諸藩の思惑などもあり、ますます血生臭くなる京の都。
京都所司代や京都守護たる彦根藩が機能不全に陥った結果ではありますが、文久の改革で一橋慶喜松平春嶽復権したものの、後手後手の対応しか取れなかった幕府の体たらくが、京の混乱に拍車をかける結果となっています。

そこで幕府は、有力な親藩である会津藩松平容保を新設の京都守護職に任じ、京都の治安維持に当たらせることにしますが、ここで藩祖保科正之が定めた家訓に懊悩する松平容保京都守護職就任を断固阻止しようとする西郷頼母ら家臣の動きの描かれ方は期待以上でした。
また、代わりに結果として京都守護を解任され10万石を収公された彦根藩の災難も期待通りに描かれていました。これが無ければ、鳥羽・伏見の戦いでの彦根藩の行動が説明つかないですしね。
しかしまあ、井伊直弼の強権的な幕府運営はあったとしても、過去に大老を何名も出し、積極的に幕府運営に関わってきた譜代筆頭の彦根藩に対するこの幕府の仕打ちは彦根藩ならずとも理不尽な話ではあると思います。江戸幕府の崩壊については様々な要因はありますが、この彦根藩の事例に留まらず、特に幕末において場当たり的な対応で諸藩の忠誠心を失わせていったことも要因としては大きかったと思いますね。

ただ、血生臭い幕末もこれでもまだまだ序の口なわけで。
これから薩英戦争が始まり、京にはいよいよ新選組も登場し、さらに凄惨な光景が繰り広げられると思うと、読む方としては結構気は重くなります。
これからどう、みなもと先生がギャグで描いていくか。そこは楽しみにしたいですね。