やね日記

或る大阪在住Mac使いの道楽な日々

世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか

スポンサーリンク

ようやく読むことが出来ました。
この本では、多くの統計データを複眼的に検証することで、これまでの「小泉政治に対する反動としての民主党の大勝」というステレオタイプな現代政治観とは一線を画した主張がなされています。世の中の見方は一つだけではないということを理解する上でも、とても有用な書籍だと感じました。
特に印象に残ったのは、下記の文章でした。

たとえば2ちゃんねるの特定スレッドの書き込みにしろブログの炎上にしろ、Yahoo!ニュースにときどきくっついている「コメント」にしろ、それは百万という単位にはまったく届かない数の世界である。百万という数は参議院比例区(国政選挙で最も大きな選挙区)でようやく1議席が取れるか取れないかというような数である。

本書の224ページから引用させていただきましたが、ネットの世界が全てでは無いという事を認識するには十分すぎる文章だと思います。
私も含めて、ネットの利用に多くの時間を割いている人々が陥りやすい傾向として、「他人も自分と同程度のネット利用を行っている」と思い込んでしまう点があるかと思います。
ですが当然ながら、全ての人がそうではありません。スポーツやレジャーなどに時間を割く人もいますし、ネットに接続出来る環境に無い場所で仕事にいそしむ人もいます。実際の統計は見る必要はありますが、ネット上で政治的な情報を仕入れる人々は、我が国の人口に比べて、実はそれほど多くないのではないかという気はします。
さらに、ネット上ではセンセーショナルな意見を述べる人が目立つことも多いですしね。
この辺に、世間の世論とネット上の「世論」との温度差があるように感じます。

私も本書で述べられている通り、今回の自民党の大敗の理由は、国民のニーズを履き違えた結果であったと思います。
国民が求めているのは、政治信条よりも豊かな生活であるのでは無いでしょうか?
たとえ、正しい政治信条を錦の御旗のごとく掲げていても、国民が豊かな生活を送る事が出来なければ、やがては国民に捨て去られていきます。それは、前世紀の東欧革命からソ連崩壊までの道筋を辿れば、とても良く分かると思います。
だからこそ、民主党もその点を弁えていなければ、やがては自民党と同じ流れを辿ることになるのではないかと思いますけどね。
是非、自身が支持された源泉は何であったのかということを、しっかりと考えて欲しいですね。