今さらですが、購入してきました。
表紙は吉田松陰と、その唯一の想い人と称された高須久子。
安政の大獄の嵐の中での別離は、より哀愁を誘います。
幕末の大弾圧として後世に悪名を残す安政の大獄ですが、実際には譜代大名筆頭としての主体的な正義感と権力者としての恐怖感を併せ持った時の最高権力者・井伊直弼の暴走として、その凄惨さが遺憾なく描かれています。
特筆すべきは、そのような恐怖政治下において、毅然とした態度を示した幕臣がいたということが描かれていたということですね。
ですが、孤軍奮闘空しく、いよいよ徳川幕府は崩壊へと向かっていきます。
私が今の世の中に生まれて良かったと思うのは、反対意見を言っても決して生死に関わる憂き目に遭わないというところですね。
言論をもって士大夫を殺さず。
国民は士大夫ではありませんが、自由な言論によって生命の危険を感じないというところは、とても幸運だと思っていいとは思います。
それに比べれば、自分の思い通りに周囲がならないということは、本当に些細なことだと思いますね。