やね日記

或る大阪在住Mac使いの道楽な日々

新九郎、奔る! 第7巻

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新九郎、奔る! 第7巻

新九郎、奔る! の第7巻が発刊されたので、早速購入して読んでみました。
新九郎の姉、伊都が嫁いだ駿河の今川家の描写もあり、いよいよ新九郎の生涯と縁が深い東国の描写が増えていく感じです。

京と東荏原とを行き来する新九郎

初恋に破れたからか、今まで以上に所領の東荏原の経営に打ち込む新九郎。
ところが、京の身内の異変により、京と東荏原を行き来せざるを得ない状態に陥ります。
隠居した父盛定に代わって京での政事と東荏原の経営の両方がその双肩にかかってきた上に、今とは異なり自分の足で京や東荏原に出向かねばならなかったわけですから相当多忙だったのは想像に難くないですね。

ただ、八代将軍義政の嫡男春王丸(後の九代将軍義尚)の新九郎に対する信任の深さと管領細川勝元の嫡男聡明丸(後の政元)と新九郎とのやり取りから、次世代の権力者たちの下での新九郎の立ち位置が何となく見えてきたような気はしました。
筋を通すことにこだわる新九郎自身の性分ゆえに、次の世代においても彼は幕府内では上手く立ち回れないのではないかという懸念は拭えないですね。
実は新九郎自身が京は合わないと内心考えていて、それが後年の東国下向に繋がったのではないかとも思ったりしています。

総大将の「老い」と見えてきた応仁の乱の終焉

この第7巻でも、応仁の乱の総大将である細川勝元山名宗全両名が新九郎目線で描かれていました。
しかも、応仁の乱勃発前の描写との対比で、両雄の「老い」が余すところなく描かれていました。
ただ、老いたりとは言っても、細川勝元細川勝元であり、山名宗全山名宗全ではありましたね。
次巻ではおそらく応仁の乱の終焉が描かれ始めるのでしょうが、老いてなお実力があったこの両雄が表舞台から去ることで、応仁の乱が収束するのは必然であったのだろうと第7巻の描かれ方を見て感じました。

ついに「御由緒六家」最後の一人が登場

そして、後の小田原北条氏の御由緒六家の最後の一人、多米権兵衛がついに登場しました。
御由緒六家の出自はいずれも東荏原在郷の家臣たちと思っていたので、多米権兵衛の出自については個人的に少し意外さを感じました。
まあ、まだ新九郎の家臣になったわけではありませんけどね。
一番若手の山中駒若丸も成長してきていますし、そろそろ新九郎と6人揃っての東国下向のシーンも見られそうで個人的には期待しています。