新九郎、奔る! 第7巻
新九郎、奔る! の第7巻が発刊されたので、早速購入して読んでみました。
新九郎の姉、伊都が嫁いだ駿河の今川家の描写もあり、いよいよ新九郎の生涯と縁が深い東国の描写が増えていく感じです。
京と東荏原とを行き来する新九郎
初恋に破れたからか、今まで以上に所領の東荏原の経営に打ち込む新九郎。
ところが、京の身内の異変により、京と東荏原を行き来せざるを得ない状態に陥ります。
隠居した父盛定に代わって京での政事と東荏原の経営の両方がその双肩にかかってきた上に、今とは異なり自分の足で京や東荏原に出向かねばならなかったわけですから相当多忙だったのは想像に難くないですね。
ただ、八代将軍義政の嫡男春王丸(後の九代将軍義尚)の新九郎に対する信任の深さと管領細川勝元の嫡男聡明丸(後の政元)と新九郎とのやり取りから、次世代の権力者たちの下での新九郎の立ち位置が何となく見えてきたような気はしました。
筋を通すことにこだわる新九郎自身の性分ゆえに、次の世代においても彼は幕府内では上手く立ち回れないのではないかという懸念は拭えないですね。
実は新九郎自身が京は合わないと内心考えていて、それが後年の東国下向に繋がったのではないかとも思ったりしています。