今年の大河ドラマ「青天を衝け」が、先日の日曜日、ついに完結しました。
昭和初期までが映像化されるということで、特に後半は近代大河のジンクスについての不安がずっと拭えなかったのですが、結局は杞憂でした。
これまでの大河ドラマの王道とは一線を画したストーリーで、とても楽しく見ることが出来ました。
農民や商人からの目線の「幕末」
これまでの幕末を題材にした大河ドラマでは、幕府側であれば将軍や幕閣、新選組など、朝廷側であれば天皇や公家、西国大名とその家臣など、いずれにせよ政治を司る人々の群像劇がメインになっていました。
しかし、今回の「青天を衝け」では農民や商人の描写が多く、農民や商人たちが開国以降の動乱をどのように見ていたのかが詳細に描かれていたのが良かったです。
特に渋沢栄一の故郷、血洗島の人々が農民でありながら勉学や剣術に勤しむ姿は、これまでの江戸時代の農民のイメージを覆すものでしたし、渋沢栄一のバックボーンもこの血洗島での日々にあったのだろうとも思いました。
「青天を衝け」は渋沢栄一と徳川慶喜の物語でもあったのかなと
また、この「青天を衝け」は幼少期から渋沢栄一と徳川慶喜が対比されるかのような描かれ方がされていました。
最初は、後に渋沢栄一が一橋家に仕えることへの布石なのかなと思っていたのですが、結果として最終回近くまで渋沢栄一と絡む形で徳川慶喜が登場し続けました。
おそらくこの演出は、渋沢栄一という人物を通じて、大正までを生き抜いた徳川慶喜も描くためのものだったのだろうと個人的には思いました。
過去の大河ドラマでもそうですが、徳川慶喜が描かれたのはほとんどが幕末までです。その幕末以降の生き様が描かれたのは大河ドラマとしては特筆すべきものだと思いますし、個人的には新鮮さを感じました。