今週放送された、銀河英雄伝説 Die Neue These 第20話「惨劇」のネタバレ有りの感想です。
辛い展開が続きます。
コンラート・リンザー大尉の忠誠心の下りは是非入れて欲しかったですね
まずは辺境星域に出張ってきたリッテンハイム侯とキルヒアイスとの戦いから。
数の上ではリッテンハイム侯の方が有利でしたが、統率の取れたキルヒアイスの前には物の数ではなかったですね。
その後リッテンハイム侯は、進路の邪魔となった味方の補給部隊を攻撃し遁走。多くの将兵が死傷します。
だからこそ、その被害者であるコンラート・リンザー大尉が「忠誠心」についてキルヒアイスに語った下記の原作のセリフは入れて欲しかったですね。
「忠誠心ですか」
リンザーの声に皮肉な波動がある。
「美しい響きの言葉です。しかし、つごうのよいときに濫用されているようですな。今度の内戦は、忠誠心というものの価値について、みんなが考えるよい機会を与えたと思いますよ。ある種の人間は、部下に忠誠心を要求する資格がないのだ、という実例を、何万人もの人間が目撃したわけですからね」
個人的には門閥貴族の正体を実に的確に示した言葉だと思います。
そしてこれは、現実の私たちにも通じる言葉であるとも思っていたので、このノイエ版でカットされたのはとても残念でした。
甘やかされて育った子供のような門閥貴族たち
リッテンハイム侯は自業自得の死を遂げましたが、ガイエスブルク要塞に拠るブラウンシュバイク公らは、メルカッツ提督の努力により何とか秩序立った戦いへ。
しかしそのメルカッツ提督の苦労も、ラインハルトの挑発により門閥貴族たちが激昂することで水泡に。
まあ単細胞ですね。
メルカッツ提督は「病人」と評しましたが、個人的に門閥貴族たちの精神は、何でも望むものが与えられて甘やかされた子供のメンタリティと同じだと思いました。
だからこそ、周囲が自分たちのために働くことが当然だと思うわけですし、自分たちの思い通りにならないことが理解できないのだろうと思いますね。
他人に何でもやってもらうことができる環境が、いかに人間の精神をスポイルするかが良く分かる気がします。
そしていよいよ、「ヴェスターラントの虐殺」へ
ラインハルトの挑発に乗り出撃したブラウンシュバイク公は、予想通りに完膚なきまでに叩きのめされる羽目に。
さらに逃げ帰ったガイエスブルク要塞で、今度は自領の惑星ヴェスターラントの反乱発生で一族のシャイド男爵が死亡したという報告が届けられ、公爵は激怒。
怒り心頭の公爵は、ヴェスターラントに核兵器を発射して住民を皆殺しにしようとする暴挙を行います。
その情報を受けたラインハルトはその暴挙を止めようとしますが、そこへマキャベリストのオーベルシュタインの進言が。
石黒監督版と異なり、ラインハルトが自分自身でヴェスターラントを見殺しにすると決めた原作通りの描写はとても良かったです。これが無ければ、後のキルヒアイスの言葉も今後の展開もいまいち重みが無くなりますしね。
そして、惑星ヴェスターラントに無数に打ち込まれた核兵器、その後の数多くのキノコ雲の描写が。
ただ、なぜか核兵器という言葉が使われず、核兵器投下後の住民の描写もありませんでした。個人的にははっきり示した方が良かったのではと思いましたね。
そして、このヴェスターラントの虐殺を機に、ラインハルトとキルヒアイスとの間にも変化が。
次回からは、映画「銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱 」の第三章として放映された部分で、私も初めて観ますが、期待と怖さが相半ばと言った感じです。