やね日記

或る大阪在住Mac使いの道楽な日々

ジャニーズ事務所とGAFAへの公正取引委員会の対応の根底にあるものが分かったような気がしました

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表題にジャニーズ事務所と出ていたので、芸能絡みの記事かと思っていたら、昨年9月に退任された杉本和行前公正取引委員会委員長に対する文春のインタビュー記事で、なかなか含蓄に富んだ記事でした。
公正取引委員会公取委)と言えば、ここ数年は結構能動的に動いていると個人的には感じられたのですが、今回の記事を読んで、その理由が分かったような気がしました。

2019年7月の公取委によるジャニーズ事務所への注意処分は、「優越的地位の濫用」と見なされ独占禁止法独禁法)に触れるおそれがあるというものでしたが、これは単に芸能界だけに留まりません。
以前から様々な業界で、企業に対するフリーランサーフランチャイザーに対するフランチャイジーなどと言った労働契約以外の契約による事実上の「労働者」が増加し、労働法上からの対応が困難で、取引条件を巡って社会問題が発生したりしていました。
ところが公取委が、企業と企業の取引関係に対する法律である独禁法を、芸能事務所と所属タレント個人といった企業と個人の関係にも適用すると言う転換を行ったことで、法人と個人という契約関係にもメスが入りました。
現に芸能界では事務所から独立するタレントを多く見かけるようになりましたが、これは芸能界に留まらず、他の業界にも大きな影響を与えているのではないかと個人的には思っています。

また、GAFAと呼ばれるビッグ・テックに対する公取委の対応についても話がされていました。
芸能界とビッグ・テック、それぞれへの公取委の対応の根底にあるものは、我が国の市場においていかに取引の自由と公平性を担保するかという点でしょう。
そしてこれらは、健全な競争にも繋がりますし、イノベーションの土壌にもなると言うことでしょう。

残念ながら我が国の公取委の活動は、欧米諸国の厳格さに比べると目立ちませんが、それでも現行法で可能なことはやっているのだろうと思います。
ここ数年の公取委の変化がこれからも続くように、継続した対応を進めて欲しいとは思います。