やね日記

或る大阪在住Mac使いの道楽な日々

MIAU Presents ネットの羅針盤を見て

スポンサーリンク

この番組はニコニコ動画の中で放送されていたのですが、今回は『模倣品・海賊版拡散防止条約 (ACTA) がヤバい』と題して、この条約が締結される事による影響などが色々と話されていて、とても有意義でした。
特に印象に残ったのが、条約案のARTICLE 2.5にあるPROVISIONAL MEASURES(仮の措置)とARTICLE 2.18のENFORCEMENT PROCEDURES IN THE DIGITAL ENVIRONMENT(デジタル環境における知財執行手続き)のオプションに含まれているアクセスコントロール回避手段規制の二点でした。
特に前者については、「知的財産権侵害の疑いだけでニコニコ動画の業務停止の仮処分が認められ得る」と、ニコニコ動画を引き合いに出して説明がなされていて、とても分かりやすかったです。
後者については、マジコン対策ばかりが取り上げられていますが、逆に著作権法上でも認められている私的複製の制限にもつながるため、リッピングなどの私的利用にも影響が出るという話もされていました。

個人的には、この条約案がそのまま発効するのには反対です。
理由としては、ユーザー側に不自由さを感じさせる事によって、却って市場全体が縮小に向かうのではないかという懸念があるからです。ユーザーが持つ使えるお金は限られています。もしも、そのサービスに不自由さを感じたとすれば、ユーザーは他の代替が効くサービスへと流れて行くでしょう。結局はサービスの供給側が自分で自分の首を絞めるだけでは無いかと思うんですけどね。
もう一つが、アクセスコントロールブラックボックス化によって、回避技術そのものがアングラ化する懸念です。そもそも経済が人の欲望を基盤にしているため、例えば経済を統制しようとすると必ず闇市場が生まれます。そのような理屈で回避技術がアングラ化すれば、当然ながら反社会的勢力の資金源にもなり得ます。完全に統制を行なうのでは無く、ある程度の緩やかさもそこには必要になるのではないかとも思います。
技術の進歩に伴い、知的財産については常にいたちごっこの状態が続いています。ですがその中にあっても、サプライヤー側は最大限ユーザー側の利便を考えるべきだと思います。 利潤を上げる事だけが、企業の存在意義では無いのですから。