やね日記

或る大阪在住Mac使いの道楽な日々

本渡章著「古地図でたどる大阪24区の履歴書」

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5月に刊行された書籍ですが、ようやく読了。
現在の大阪市の行政区の増減を通じて、大阪市の発展の歴史が記述されたものですが、各行政区の特色や歴史も割と詳細に記載されていて、私的好奇心をくすぐる書籍でした。
イラストや古地図などの過去の地図なども多く掲載されており、大阪市の歴史を知りたい人には格好の入門書だと思います。

特に印象的だったのは、古代の都が置かれていた上町台地からベイエリア、淀川リバーサイド、そして、大阪市南部へという人口の重心の移動が、そのまま大阪市の発展の軌跡につながるという視点でした。
また、区の命名に当たっても苦労があったというエピソードも興味深かったです。東淀川区西淀川区が当初「中島区」と「姫島区」という名称だったものが、直前になって変更されていたことは初めて知りました。
東成や西成、住吉のような古くからの郡の名前や、浪速や此花といった古代の言葉が区名に採用されているのも、特定の地名を採用することで不公平感が出ないようにするという配慮があったのかもしれないですね。

産業の発展や人口増加に伴い、西区や東成区、住吉区など、市域拡張時に人口でも面積でも巨大だった区が分割されていく過程も、大阪市の都市開発の過程と合わせて見るととても興味深いものを感じました。
大阪市24区の歴史は、まさに大阪という都市の栄枯盛衰の縮図ではないかと思いましたね。

少子高齢化が進む中で、これまでの大阪市の歩みは、ひょっとしたら未来へのヒントを与えているのかもしれません。
次はどの地域が大阪の「重心」になるのか?
興味は尽きないですね。